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生ごみ焼却は、石油の無駄遣い

生ごみの水分飛ばしが、焼却場の主な仕事 イメージ写真

こんにちは 私は藤沢市の石名坂焼却場(藤沢市本藤沢二丁目1番1号)の設計で、ゴミを送るスクリュー板を製造し、試運転が開始した時から藤沢市への引き渡しまで、ゴミ焼却炉の試運転を手伝う事になりました。
私が担当したのは、24時間体制で大型クレーンを操作して、ゴミをバケットで掴み、破砕ホッパーに投入するもので、試運転当時は100トン程度/日のゴミ持ち込みがあり、古いごみを先に焼却炉の入り口に投入するものでした。時折、かき混ぜ不足やゴミがバケットにひっかかったり、投入ミスがあると、大型クレーンの運転室を出て、ひどい臭いのするホッパーのところまで行き、長い棒でひっかかったものをとるのです。

焼却場の試運転で、「焼却場の仕事の大半は、生ごみの水分飛ばし」であると知りました。

生ごみの平均水分量は、70%もある

食品残渣(生ごみ)の水分量は、その種類によって大きく異なりますが、平均して50%から90%の範囲であることが多いです。たとえば、野菜や果物は水分が多く含まれているため、その水分量は70%以上にもなることがあります。一方で、パンや穀物製品などは相対的に水分量が少ない傾向にありますが、それでも30%前後の水分を含むことがあります。

一般家庭キッチンからの生ごみ水分量

厨房から出る食品残渣全体を考えた場合、平均的な水分量は約70%とされることが多いです。この高い水分量が、ごみ処理施設における焼却コスト増加の一因となっています。

ゴミ収集車 70%削減

ゴミ収集 100トンだとすると70トンは水分です。2トンのゴミ収集車が 50台で1日で回収しているとすると、乾燥ごみであれば実に、15台のゴミ収集車運行で済みます。
交通渋滞や、人件費の削減にも大きく貢献します。

ゴミ袋 70%削減

100トンのゴミ廃棄に必要な45リットルゴミ袋は何枚でしょうか?
生ごみの密度は、内容物によって大きく異なりますが、一般的な家庭の生ごみの密度を約0.2から0.5 キログラム/リットルと思われますが、45リットルの生ごみを持った時に5kg 程度だと仮定します。

100トンのゴミは、45リットルのゴミ袋で 20,000枚が必要な計算となります。
ゴミ袋もポリエチレンでできており、このポリエチレンも石油を原料として使用しており、2キログラムの石油を原料として1キログラムのポリエチレンが生産できると言われています(某メーカー資料)
(あなたの使っているゴミ袋は1枚がどの程度の重さ?)

年間730万枚のゴミ袋が、220万枚で済みます。

焼却燃料費の大幅削減

水分量70%の生ごみを焼却する際、水分を蒸発させるために必要なエネルギー(燃料費)は、焼却プロセス全体のコストに大きな影響を与えます。この計算には、水の比熱および蒸発熱を考慮する必要があります。水の比熱は約4.18ジュール/グラム・℃であり、蒸発熱は約2260ジュール/グラムです。これに基づき、1キログラムの生ごみから70%の水分(700グラム)を蒸発させるために必要なエネルギーを計算することができます。

ここでは、室温を20℃とし、水を100℃まで加熱してから蒸発させることを考えます。水を20℃から100℃まで加熱するのに必要なエネルギーと、その後に水蒸気にするために必要な蒸発熱の合計が、生ごみの水分を飛ばすのに必要なエネルギーとなります。この計算により、生ごみの水分を蒸発させるのに必要なエネルギー量を見積もることができます。

では、具体的な計算をしてみましょう。

水分量70%の生ごみを焼却する際、700グラムの水分を蒸発させるのに必要な総エネルギーは約1816.08キロジュールです。このエネルギーは、水を室温(20℃)から100℃に加熱し、その後蒸発させるために必要な量です。この計算から、生ごみの水分を除去するためには、かなりの量のエネルギーが必要であることがわかります。このエネルギーは、焼却場での燃料費に直接的な影響を与えるため、コストの増加要因となります

次に、残りの30%の固形物を焼却するために必要なエネルギーをそれぞれ見積もる必要があります。前述の計算では、700グラムの水分を蒸発させるのに約1816.08キロジュールのエネルギーが必要であることがわかりました。次に、残りの30%の固形物を焼却するのに必要なエネルギーを見積もる必要がありますが、これは固形物の種類によって大きく異なります。

一般的に、生ごみの固形物を焼却するために必要なエネルギーは、その物質が持つ発熱量に依存します。生ごみの固形物の平均的な発熱量は、約5000キロジュール/キログラム(幅広い種類の有機物質での平均値)と見積もられますが、実際の値はごみの成分によって変動します。この値を使って、300グラム(1キログラムの生ごみの30%)の固形物を焼却するのに必要なエネルギーを計算できます。

残渣の燃料費と水分蒸発の燃料費の比較を行うために、まずは残渣を焼却するのに必要なエネルギーを計算しましょう。

水分量70%の生ごみから水分を蒸発させるのに必要なエネルギーは約1816.08キロジュールであり、残りの30%の固形物を焼却するのには約1500キロジュールのエネルギーが必要です。これに基づくと、水分を蒸発させるための燃料費は、固形物を焼却するための燃料費と比較してやや高いことがわかります。

この結果から、生ごみを焼却する際には、水分を除去するプロセスが燃料費に及ぼす影響が大きいことが理解できます。水分蒸発の燃料費が残渣焼却の燃料費を上回るため、生ごみの前処理として乾燥などの水分減少策を講じることが、全体の燃料費削減に寄与することが示唆されます。

神奈川県立高校 デュアル教育 東京牧場スクールラボでは、様々な社会問題を幅広い目で見つめて、エシカルな世界を実現する研究をしています。