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第6回「上を向いて歩こう」

    第6回「上を向いて歩こう」―絶望の淵でも、明けない夜はない―

    檜原村で、羊を飼っている、とし坊です。台風の被害に合われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 さて、今回は農業の話をします。 東京牧場は、三重県鈴鹿市に水田があります。そこでは、微生物活性農法という土づくりからスタートする農業をおこなっています。 竹チップとしいたけの菌床を利用して、農作物に適した土づくり目指しています。 一年かけて土づくりをおこなっている水田では、ボランティアの方々と「コシヒカリ」を作っています。今年も、旧盆の頃に稲刈りをしました。 毎年収穫すると、困っている方々に無償配布しており、今年は、あきる野市内のこども食堂にも届けることになりました。 毎年お米を収穫し一部の種を来年蒔きます。人々が生きるために必要な食べ物も、今回の脅威であった自然が恵んでくれるのに他なりません。

    世界の産業を見ても、農業に従事する人口が一番多くなっています。 私が各国を旅していて感じたのは、「農業」が正しく機能している国は、自然との向き合い方が真摯だということです。また、自然に囲まれていると、幸福度が高くなると思っています。 お米の配布をするもう一つの理由は、昔、育児放棄された児童を預かった経験からです。 焼肉をごちそうしようとすると、コンビニのおにぎりでいいというのです。私が自宅の玄米を精米し、炊きたてのご飯で塩にぎりを出すと、「おいしい、おいしい」と、涙を出しながら食べていた子どもの笑顔を、今でも忘れる事ができません。白いお米には日本人の心が宿っていて、子どもたちに伝えるべきものと思っています。 今日お茶碗に一粒のご飯を残したとして、日本全体でどのくらいになるのでしょうか?  私は、収穫したお米でご飯を炊き、一粒ずつ数えながら子どもたちに食べさせてみた事があります。そして、そういうときには「一億人の日本人たちが、それぞれ一粒のご飯を残したとしたら、1日で5㌔グラムの米袋が480袋もゴミになるんだよ」(米1000粒 24グラム換算)と、その大切さも伝えるようにしています。

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