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第4回「北の宿から」

    第4回「北の宿から」―時代の流れに乗り事業拡大―

    檜原村で、羊を飼っている。とし坊です。 最近「紡ぐ」「染める」という手作りに「はまる」方が増えており、国産羊毛が不足しています。そんな中、今年も9月21日(土)から2日間、すみだ産業会館(墨田区)で東京の羊毛の展示販売会を行います。10月には染めや紡ぎが得意な方々の協力を得て、草木染め体験教室を奥多摩の「山染紡(さんせんぼう)」で開催します。興味ある方はぜひご参加ください。その翌週には、当社希少羊のマンクスロフタン試食会が、府中市の東京農工大学内で行われる事となり、関係者から大きな期待が寄せられています。  さて、昔話に戻りますが、ちょうど「昭和」から「平成」に移り変わる時、北海道庁から当社に尋ねて来た方がいました。北海道では産炭地域特別法があり、企業進出すると法人税免除や、補助金が出るというのです。平成の時代に石炭を掘っているのを知らなかった私は、すぐに北海道へ見学に行きました。当時から人口減少を問題視している道の各自治体から大きな歓迎を受け、週末は北海道で過ごし、国有地購入を考えるようになりました。

    やがて、太平洋を見渡す丘(北海道白糠町)が気に入ったのですが、そこは牧草が広がる農地でした。ところが、町長からその丘に建物建設を勧められたのです。北海道での農地転用は難しく、何より所有者の方々も先祖代々受け継いだ土地を手放したくないだろうと思っていました。 しかし、所有者に会うと、「土地は死んで持っていけない。活用してもらえれば」と言われ背中を押されました。  譲渡当日は、「この太平洋を一望できる場所も元々は、誰の物でもなくアイヌの見張り台があっただけで、18世紀に蝦夷地の開拓事業とロシアへの防衛強化から、八王子市の千人同心が北海道のこの場所に来て開拓がはじまった“最近“のことなのです」と、役場の担当者から土地の歴史を聞き捺印しました。 その日から役場内に当社進出のプロジェクトチームが結成され、農地転用を含めた行政・地域の強力なバックアップが行われ、1991(平成3)年に当社の北海道支店(写真)が誕生したのです。

    <第3回「どうにもとまらない」第5回「釧路の夜」>